2020-02-21 第201回国会 衆議院 予算委員会公聴会 第1号
○八代公述人 ありがとうございました。 もちろん今育児休業をとりますと雇用保険の方から一定の比率で給付されるんですが、やはり働いていたときよりは少ないわけで、そういう意味で、生活が苦しい家庭では給料の高い夫がとることが困難になるということは当然あり得るかと思います。その意味で、給付金の引上げというのも一つの手だと思いますが、私はそれだけでは無理だと思うんですね。 先ほど言いましたように、義務化するかしないにかかわらず
○八代公述人 ありがとうございました。 もちろん今育児休業をとりますと雇用保険の方から一定の比率で給付されるんですが、やはり働いていたときよりは少ないわけで、そういう意味で、生活が苦しい家庭では給料の高い夫がとることが困難になるということは当然あり得るかと思います。その意味で、給付金の引上げというのも一つの手だと思いますが、私はそれだけでは無理だと思うんですね。 先ほど言いましたように、義務化するかしないにかかわらず
○八代公述人 御質問どうもありがとうございました。 格差の問題は非常に大事でございまして、先ほども小林参考人の方から税制の問題ということを言われたんですが、もう一つ、やはり社会保障の構成に私は問題があると思うんですね。 日本の社会保障費の実は九割近くが社会保険、年金とか医療、介護保険で賄われていて、これはいわば水平的な再分配をする機能で、本当の垂直的な再分配、貧しい人に集中的に投じられるのは福祉
○八代公述人 昭和女子大学グローバルビジネス学部長の八代と申します。 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。 私は、専ら今の日本の経済成長あるいは所得格差の問題に最も関係する、働き方の改革というところに焦点を絞ってお話しさせていただきたいと思います。 まず、言わずもないことでございますが、働き方改革というのはなぜ必要なのかということでありまして、これは、一言で言
○八代参考人 まさにそこがポイントだと思います。 つまり、先ほどから議論がありましたように、なぜ実習生が非常に悲惨な待遇にあるかというと、それは、転職できないから、一種の経済学でいう雇用主の独占力があるから。ですから、転職できるという今回の新しい在留資格は、そういう意味では非常に画期的なわけでして、ちょうど高度人材と同じような意味で、中度人材の労働者の自由度が高まるという意味では非常にいい仕組みだと
○八代参考人 ありがとうございました。 それは、ほかの参考人の方も基本的におっしゃっていることと同じで、やはり移民の定義というのは、かなり日本は特殊な定義を使っていて、例えばほかの国では、極端な場合は一年以上働けばそれは移民だという定義もあるわけでして、日本の場合の移民の定義というのは、結局、帰らなくてもいい、いわば永住権がある。 それに対して、外国人労働者は帰らなきゃいけないということかもしれませんが
○八代参考人 ありがとうございました。 私は、ほかの方と違いまして経済学を専攻しておりまして、それから、第一次安倍内閣のときの経済財政諮問会議でまさにこの問題を担当しておりまして、労働市場改革専門調査会の主査も担当しておりました。そういうことも含めて、この問題について所見を述べさせていただきます。 最後の参考人ということで、これまで多くの参考人の方の御意見を伺ったんですが、私は非常にびっくりしたことに
○八代参考人 どうもありがとうございました。 当然ながら、あらゆる規制改革は、国全体、経済全体の利益のためにやるわけでして、これは、規制というのが、どっちかといえば、特定の利害集団の利益を守る、それによって他の事業者あるいは消費者全体にコストをかけるというものと、いわば正反対なわけです。 規制改革というのは、ある意味で自由貿易と同じことでありまして、自由貿易というのは、国と国との間の取引の自由化
○八代参考人 御質問ありがとうございました。 今おっしゃった点は物すごく大事であって、社会保障が大事か大事でないか、もっとふやすべきかどうかという以前に、今の社会保障制度というのは極めて私は非効率だと思います。 どういう意味で非効率かというと、所得再分配機能が弱いんですよね。これは、日本の社会保障というのはその九割近くが社会保険、年金、医療、介護保険で、社会保険というのは基本的に中流階級の中での
○八代参考人 おはようございます。 私は、直接この国家戦略特区のワーキンググループには関与しておりませんで、いわば外から見た形でこの問題を考えたいと思います。 私は、かつて、規制改革会議で構造改革特区をつくるときの直接の責任者でもありましたし、あと、できた特区を全国展開するときの評価をする委員会の委員長もやっておりましたので、いかに日本にはくだらない規制があるかというのをつくづく認識しまして、何
○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。 最後の点でございますが、規制改革会議の方でこういう規制緩和をする必要があるということを提言いたしまして、これは規制改革会議の答申というのは二つに分かれております。問題意識という委員だけの意見の部分と、具体的施策という、関係各省、この場合は厚生労働省と合意した部分という二か所に分かれておりまして、この規制の緩和部分は厚生労働省との合意に基づいたものでございます
○公述人(八代尚宏君) ありがとうございました。 今様々な御質問をいただきましたが、少しちょっと整理してからお答えしたいと思います。 まず、二重派遣を始めとする違法行為が許されないのはこれはもう当然のことであって、これはもう厳しく処罰していただかなければいけないかと思います。規制緩和は決して違法を奨励するためのものではないわけで、きちんとしたルールで合法的な仕事をするということが当然のことでありますので
○公述人(八代尚宏君) 議長、ありがとうございました。 本日は、参議院の予算委員会の公聴会に公述人としてお招きいただきまして、誠にありがとうございました。ここでは当然のことながら私個人としての意見を述べさせていただきますので、私が属している組織の見解とは同じではないことを念のためでございますが明確にさせていただきたいと存じます。 お手元に「日本経済の課題」というパワーポイントの資料がございますので
○参考人(八代尚宏君) 和田先生から御質問があったNPO税制でございますが、これは二つありまして、一つは、NPOが払う税金でありますけれども、こちらの税金は、元々NPOって大した利益が出ないわけでありますから、余り問題ではないかと思います。 大事なのは、NPOに寄附した人に対する所得税の控除でありまして、今もボランティア減税という話がありましたが、より大規模にその所得控除の対象にする、これ米国等では
○参考人(八代尚宏君) 小泉先生、ありがとうございました。 確かに、高齢者という言葉自体が一種の差別用語でありまして、その意味で私は高年齢者というような言い方をして、まあ大した違いはないわけでありますけれども。 やはり、五十歳代でももう元気がなくなる人もいれば、七十過ぎても非常に元気な方もおられる。つまり、高年齢者の大きな特徴はそれ自体が多様性なわけですね。ですから、やはり一律の制度で決めるんじゃなくて
○参考人(八代尚宏君) 国際基督教大学の八代でございます。 本日は、団塊世代の退職問題を中心にいたしまして、世界で最も速いスピードで進展します日本の高齢化問題とそれへの対応ということでお話しさしていただきたいと思います。(資料映写) 本日の趣旨は以下のとおりでございまして、戦後のベビーブーム世代の高年齢化に伴う経済社会的な影響ということを、特に九〇年代までの日本は人口構成の黄金時代であると、人口
○参考人(八代尚宏君) いや、もしよろしければ。 ですから、正に先生のおっしゃるとおり、三年とか五年たった後、その人が雇い止めされる、言わば解雇に近い状況になる、これをどうするのかということでございますが、逆に言うと、そういう条件で初めて企業が雇ってくれるのであって、もしそれを、三年とか五年たった後必ず終身雇用の働き方に変えなければいけないとなると、逆にそれは、その人の雇用機会を狭めてしまうという
○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。 そこは、まさしく非常に大きな議論を呼んでいるところだと思われます。 まず、附帯決議の考え方でございますけれども、その附帯決議の前提には、いわゆる終身雇用と有期雇用との間が代替的な関係がある、したがって、そういう有期雇用を減らせばその人たちは終身雇用として雇われるという前提があろうかと思いますが、経済学的な考え方をすると、その前提は必ずしも成り立たないんじゃないか
○参考人(八代尚宏君) ただいま御紹介いただきました日本経済研究センターの八代でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございました。(資料映写) 少子化の問題を考えるときには、何が一番大きな要因なのかということをやっぱり考えなければいけないわけで、あらゆる問題が関係しているわけですけれども、余りにも間口を広げ過ぎますと、また対策もぼけてしまうというふうに考えております。
○参考人(八代尚宏君) おっしゃる点はよく分かるわけですが、ただ、沖縄の金融特区は、ここで議論している構造改革特区以前に構想された、私はやや古い形の特区ではないかと思います。これはあくまでも国のモデル事業であって、沖縄の地域振興という観点から様々な規制緩和と、それから一種の財政的な補助も含めて行われた、あくまでも地域振興のための特区であろうかと思います。 それ自体はもちろん大事なことだと思いますが
○参考人(八代尚宏君) どうも貴重な御質問をいただきましてありがとうございました。 まず、言葉の定義でございますが、私は基本的に、規制改革特区も構造改革特区も、あるいは規制緩和も規制改革も、基本的には変わることはないと思います。 ただ、規制緩和という言葉自体が非常に誤ったイメージを持たれる、つまり新自由主義であるとか、市場万能であるとか、弱肉強食であるとか、そういう誤解を生むために、そうではなくて
○参考人(八代尚宏君) 八代でございます。 本日は、構造改革特区法案の意義と規制改革への効果ということについてお話しさせていただきたいと思います。 まず、お手元に資料を用意してございますので、これに沿ってお話しさせていただきたいと思います。一枚めくっていただきまして、こういう特区というものはなぜ必要かということから御説明させていただきたいと思います。 御承知のように、九〇年代以降の日本の経済社会
○参考人(八代尚宏君) お答えさせていただきます。 まず第一点のリストラとの関係でありますけれども、これは旧来型の男性が働いて妻子を養うというシステムを前提にしておりますと、女性が働いたり外国人が働くということは当然リストラを促進させる要因になるわけですから、反対が非常に強いというのはある意味で当然の予想されることだと思います。 ですから、私はやはり働き方自体を変えていくということを、それは結局標準的
○参考人(八代尚宏君) お答えさせていただきます。 まず、第一の御質問に関して、このグラフの右側の上がっているところの因果関係は何かということなんですが、これも非常に難しいんですが、一つの上昇を説明する要因にジェンダー指数というのがありまして、これはきょうは持ってきておりませんが、男女共同参画白書に載っております。つまり、女性が働きやすいというか男性と女性が割と平等な国ほどこういう、当然ながら女性
○参考人(八代尚宏君) 八代でございます。 私は、今、小川先生がお話しになったところとやや違う角度からお話しさせていただきたいと思います。 私は、主として労働市場、社会保障の方に興味を持っておりますので、少子化問題というのは一つの社会における制度的なひずみがもたらした一つの現象であるというふうにとらえてみたいと思います。 これまで、官庁それから民間、いろんな場所で少子化対策というのが非常に重要
○参考人(八代尚宏君) 今の御質問に簡単にお牧えしたいと思います。 これまでの企業の雇用政策方針というのは、どちらかというと基幹年齢の男性を中心に考えて、女性とか高齢者及び御指摘のあった身障者というのは非常に補助的な役割を果たすものというふうに考えてきたと思います。しかし、今後の人口高齢化の進展のもとで労働力が不足しますとそういうやり方ではやっていけないわけでありまして、御指摘のように、六十五歳を
○参考人(八代尚宏君) ありがとうございました。 今御質問いただきました将来の高齢化、国際化、規制緩和を踏まえた雇用制度のあり方というのけ極めて重要な問題であろうかと思います。この点につきまして、これまで我が国では日本的雇用慣行というものがございまして、これは今回の不況の中では極めてその効果を発揮したわけであります。 先ほど鈴木参考人の方から、今回の不況では日本の失業率は三%程度におさまって、これは
○参考人(八代尚宏君) 上智大学の八代でございます。 本日は、今後の国民生活の最も大きな課題の一つであります人口高齢化の問題についてお話しさせていただきたいと思います。お手元に資料が用意してございますので、それに沿ってお話しさせていただきます。 人口の高齢化という問題はよく議論されておりますが、そこには二つの異なった意味がございます。一つは、高齢者比率の高まりということでございまして、お手元の最初
○参考人(八代尚宏君) 最後の方から逆にお答えさせていただきますと、決して私と菅野先生の言っていることは違ってはいなくて、どっちから見るかだけでありまして、私も日本的雇用慣行が一気に崩れるというのではなくて、徐々に崩れてくる。その崩れ方というのは今までのような固定的な雇用慣行及び年功型の昇進パターンが変化するというよりは、そういう慣行に乗るような労働者の比率が急激に減ってくるというような形で日本的雇用慣行
○参考人(八代尚宏君) 御指摘どうもありがとうございました。 まず、日本的雇用慣行のコスト・ベネフィットという問題だと思われますが、非常に大ざっぱに言わせていただきますと、固定的で、かつ今先生のおっしゃいましたような企業内で熟練を形成していくシステムというのは、私は相対的にブルーカラーに非常に合ったシステムだと思われます。これは、日本の製造業の非常な国際競争力の強さということにまさにこれが反映しているわけでありまして
○参考人(八代尚宏君) 上智大学の八代でございます。 私に与えられましたテーマは、二十一世紀に向けての労働力不足問題への対応策ということでございますので、これに沿って御説明させていただきます。 まず最初に、お手元にお配りいたしました若干の図表をごらんいただければありがたいと思います。 最初に、二十一世紀に向けての労働力問題を考えますときに、極めて大きな影響をもたらしますのが人口高齢化の進展でございます